kakukaku

日曜日の朝、実家の田植えを手伝いに帰った。

昨年初めて田植え機の操縦を習ってから実に1年ぶりの搭乗になったわけだけど、まあ操作方法なんてほとんど忘れていて勘を取り戻すのに随分かかった。コツを掴んでさあこれからだとなった時には既に田植えが終わっていて、また来年。ヨーロッパのワイン職人がテレビで「あと20年生きても20回分のワインしか作れない、これで完成だ、と思えるワインなんて20回足らずじゃ辿りつけないと思う」と語っているのを見たことがあって、その時は壮大だなー、なんて呑気に思ったものだけれど、米作りというか、大抵の農作業はそんな感じなのだなと今回思った。

実家周辺の地域では、近年里に下りてきたシカが新芽を食むようになっているとのこと。これが農家の間でけっこう深刻な問題になっているらしい。植え付けの済んだ柔らかな苗を摘まれては敵わないので、僕ら家族も我らが田んぼのぐるりを防護ネットで囲った。このネット張りの作業が正直田植えそのものより重労働で、ネットがたるまないように延々端を引っ張りながら柵を打ちつけていくのだけど、風になびく網は本来の重さの倍以上に感じる。あれだけ苦労したのに万一苗をシカにやられるようなことがあったら堪らない。社会人になってからこんなにもシカに心を占められることになるなんて、大学生のころの僕が聞いたら本当に驚くと思う。