smart

小中高、大学と、健康診断を受ければ常に「痩せすぎ」「痩せ気味」のゾーンに属すほっそりした青春時代をすごしてきた僕であるが、社会人になってもりもり体重を増して現在身長178センチ体重70キログラム、何かしら突発的な犯罪を犯したとして目撃者には「中肉中背の男性が…」と表現されるであろう外観になってしまった。太った。

増えゆく自らの体積に危機感を覚えてランニングや筋トレに勤しんでいた時期もあったけれど、ここ数か月は運動という運動をせず、仕事の担当顧客が変わって重い荷物を納品する頻度も減っているから、さもありなんという感じではある。

つい最近、大学時代の写真を眺める機会があった。当時を懐かしむ気持ちももちろんあったけれど、しかしそれより昔の自分のシャープさに愕然としてしまった。写真の中の僕は本当に今と全然違った。今の僕の容姿レベルを1カッコイイとするなら、5年前の僕は40カッコイイくらいある。確かに当時バイト先の本屋の同僚(おばさん)や、足しげく通っていた定食屋のおかみさん(おばさん)、果ては旅先の旅館の仲居さん(おばさん)、などにちょっと意味が分からないくらいチヤホヤされた覚えがある。当時は何も考えていなかったが、今にして思えば、20歳の僕はこれから何か成し遂げるのではないかと期待させられるような、そんな容姿をしていたのだ。

5年後、現在の僕はというと、もちろん何かを成し遂げたわけではない。虫歯があるし視力が落ちてお腹も出ている、足が遅い。あと目がすごい濁ったしいつも眠い。社会に出るということはこれほど大きな代償を背負わなくてはいけないのか。

違う。

虫歯は歯医者で治せばいい、腹は運動して引っ込ませればいいのだ。目が濁っているのは…まあ仕方ないとして、早い時間の就寝を心掛ければ日ごろの眠気もきっとなくなる。全て何とかできるのに、そうしなかったのは僕自身の責任だ。輝ける可能性を取り戻すために、何かを成し遂げてやるために。あとおばさん以外、ちゃんと若い女の子にもチヤホヤされるために。僕は再び、痩せることにする。