木星

近況を書く。

煙草を吸わなくなって1ヶ月と少し経つ。おそらくこれから自分で煙草を買うことはないのではないかと思う。現状は誰かから差し出されたものを付き合いで口にする程度、完全に喫煙への欲望がなくなったかというとそうではなく、どうしても口寂しいときは飴を舐めるようにしている。麻雀をしている時や、たくさんアルコールを採ったときなんかはかなりヤバい。だって煙は美味しい。ついこの間「風立ちぬ」を見たけれど、宮崎監督自身かなりのヘビースモーカーなだけあって、煙草のシーンが本当によくできていた。白い息と吐き出される煙の軌道、灰皿から漁ったシケモクを吸うあの仕方のない感じ。鑑賞後はかなり後ろ髪を引かれたけどなんとか踏ん張った。良い映画だったと思う。

彼女ができた。2つ年上、保健室の先生をしている。身体が柔らかい。本当に僕なんかに彼女ができていいのかという気持ちがあり、一方でこれだけ誠実な生き方をしているのだから彼女くらいできて当然だとも思っている。自意識とはかくも不安定なもの、ここ数か月、孤独が常態になっていたせいで忘れかけていたけれど、僕はそもそも結構もてる方なのだった。思い出せてよかった。なんて。

仕事では期が変わって受け持っていた顧客のほとんどを後輩に渡すことになった。引き継ぎが終わるまでバタバタするけれど、その後は新しい顧客をいくつか担当しながら上司のサポートをすることになっている。あと新規開拓。担当顧客が減って身軽になった分好きに動いてみろ、あと先輩のサポートをしながらもう少し高度なことを勉強していけ、という感じだと思う。意識の高いサラリーマンならここで将来の展望を語るのだろうけれど、僕はただ無難に波風立たず色々が済めばいいと思っている。

さっき仕事で貰ったマタタビをシャツの胸ポケットに入れたまま洗濯機を回してしまった。ふやけた短い枝が4本手元にある。一緒に回した衣類にマタタビの匂いがついていると良い。猫に大人気の自分という想像は気持ちが明るくなる。余談だけれど自分がもし女の子だとして、洗濯における失敗を経験していない男性とはちょっと付き合えないなと思う。ある種の失態と絶望を乗り越えてこそ、男は強くなるからだ。そういう意味で、僕は強い。ほら、みんなついてこいよ!(粉々になったポケットティッシュまみれのTシャツを着ている)