草木も眠る

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一番好きな食べ物は? と訊かれたら鰻と即答するくらい鰻が好きだ。かば焼き、うな丼、うな重。一応僕の中のランク付けではうな重が最上級に位置するけど重箱は持ってないので家で食べるのは専ら丼である。

稚魚の不漁で絶滅も危惧されているということもあって今年の鰻はものっすごく高かったけれど、せっかく丑の日なので一尾2500円のを奮発して購入、昨日と今日で食べきって一食1250円。震えるぜ。でもまあそれくらい出してもいいかな、と思えるくらい美味しいのだから今後も彼らが絶滅しない程度の頻度で食べていけたらと思う。

僕の鰻好きを裏付けるエピソードとして離乳食を卒業するかしないかという頃(もちろん僕の記憶にはない)、家族で外で鰻を食べていて、そのおこぼれをもらった僕の満面の笑みを見た鰻屋のおかみさんが「あらーおうなが大好きなのね~」と心底感心したように言ってきた、というのがある。母は事あるごとにこの出来事を僕に語る。僕自身もけっこうまんざらではない。三つ子の魂百までというか。

そういえば今年の2月に亡くなった祖父は最期の床でずっと鰻が食べたいと言っていた。固形物も喉を通らないくらい弱っていたけれど、それでも渇望してしまうような魅力がこの魚には宿っているのだと思う。僕の鰻好きは祖父のDNAを受け継いでいるのかもしれない。祖母はそのときの祖父があんまり鰻うなぎうるさかったものだから、以降鰻が嫌いになってしまったそうだけど(というのは建前できっと鰻を見ると祖父を思い出してしまうからなんだろうと思う)、そういう諸々を含めて僕は鰻が好きだ。